金融庁が【仮想通貨】の呼び名を【暗号資産】に変更する意味
日本において、仮想通貨は、資金決済法で規制されています。
2010年4月に施行された資金決済法を、時代の変化に合わせるために2017年4月に改正しました。
この時、仮想通貨に関する項目が新たに組み込まれたことにより、「仮想通貨法」とも呼ばれています。
当初、仮想通貨は決済手段としての役割が想定されていました。
しかし、2018年春、G20の国際議論で、仮想通貨の呼び方が『暗号資産(Crypto-assets)』に変わったことで、日本でも改めてその定義が議論されることに。
仮想通貨の呼び名を【暗号資産】に変更-金融庁が検討
・仮想通貨取引所(コインチェック・ザイフ等)の相次ぐ不正流出事件
・仮想通貨相場の急激な乱高下
投資家保護の観点から、仮想通貨は円やドルなどの法定通貨とは大きく違い、投機的に売買される『資産』として規制すべき対象として位置付けるようです。
金融庁は、11月26日に開催した「仮想通貨交換業等に関する研究会」において、呼び名をこれまでの【仮想通貨】から【暗号資産】に変える検討を本格的に開始。
同研究会に出した資料には、論点整理の議題として、以下のように記載されています。
仮想通貨の呼称変更
国際的な動向等を踏まえれば、法令上、「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更することが考えられるか
また、仮想通貨交換業者に不適切な広告や勧誘を禁止することや、リスクの高い仮想通貨の取引を禁じることも検討項目に挙げています。
金融庁は近く資金決済法や金融商品取引法を改正し、仮想通貨への規制をさらに強化する方針。
仮想通貨の法的意義
◆2017年4月に施行された「資金決済法第2条5項」より
この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
<KEYPOINT>
(抜粋)代価の弁済のために不特定多数の者に対して使用する
➡「代価の弁済のために」利用されるということは、仮想通貨が決済手段であることを意味しています。
※資金決済法が定義する【仮想通貨】という文言は、仮想通貨取引所が取り扱うモノとして仮想通貨の大枠を定めた概念であって、仮想通貨そのものの性質を真正面から定義できているわけではない。
CRYPTOCURRENCY の和訳
【CRYPTO-CURRENCY】の和訳を単語に分解して考えると、
◆CRYPTO :(形容詞)暗号の、秘密の
◆CURRENCY:(名詞)通貨、貨幣、流通
※【仮想の】を意味する英単語は、そもそも【VIRTUAL(ヴァーチャル):仮想の、ネットワーク上の、実質的な】であり、【CRYPTO(クリプト)】は暗号を意味する英単語です。
※日本語に直訳すれば、そもそも『暗号通貨』が正しい表現。
しかしながら、日本の法律においては『暗号通貨』ではなく、『暗号資産』と再定義していくことになりそう(通貨ではなく、資産と位置づける)
①仮想通貨 ➡ ②暗号通貨 ➡ ③暗号資産(Crypto-assets)
仮想通貨の性質
仮想通貨は、価格の変動率が大きすぎるため、決済には不向きであり、現時点では通貨としての機能は保てないと共通認識されてきました。
サトシ・ナカモトの理念は、❝国家に縛られない、世界共通の通貨❞-それこそがビットコインでした。
しかし、現状の仮想通貨は発展段階にあり、まだまだ不安定で、国家が発行する法定通貨の代わりを担えそうにありません。
通貨としての機能より、金(GOLD)のような『価値の保存機能がある』ことははっきりと分かってきました。
言うなれば、まさに【デジタル・ゴールド】です。
金の現物は重くて、流通が難しい資産ですが、仮想通貨に重量はありません。
金本位制から、国家が発行する通貨の時代を経て、これからは技術(テクノロジー)が信用(資産)を担保する時代なのです。
「寝れば増える」・・・そんな投機的ブームは、2017年の冬から2018年の始めにかけて、ひとまず終わり。
2018年は、まさに宴の後となりました。
ICOの中には詐欺案件もすごく多いですし、今後は国の規制も入り、本物のプロジェクトのみが進化していくことでしょう。
仮想通貨 or 暗号資産の第2章・第3章は、まだまだこれからです。